デモクラティックスクール(サドベリースクール)の特徴

自分の好きなことを学ぶ

子どもたちは自分で学び、成長することができると信頼されています。だからそれぞれが興味のあることをしています。
子どもたちは「やりたいことをやる」ことで、その時々の最大限の学びを得ています。

 カリキュラム&テストなし

どんな形でも子どもたちがテストなどで評価されたり、大人からアクティビティについて先に提案されたりすることはありません。
子どもたちは自分で自分のことを考えることができるからです。

 子どもの尊重

子どもたちは大人から一方的に指示されたり、規制されたりすることはありません。
子どもも大人も同じように一人の人間として大事にされています。

 ミーティングで話し合って決める

スクール全体にかかわることはミーティングで話し合います。みんなで決めて納得したルールは守りながら、自由にすごすことができます。
スクールの方針・予算・スケジュール・人事なども子ども・スタッフ共に1 票をもって決定します。
スタッフをだれにするか子どもたちが投票をするスクールもあります。

 年齢ミックス

学年・クラス分けはありません。いろんな年の子ども達がいっしょに過ごす中で、たがいに教えあったり影響を受けたりしながら、多くのことを学んでいっています。

自由と自治を大切に過ごすスクールライフ

ありのままの自分で

デモクラティックスクールで子ども達は、自分と向き合って過ごします。

ここにはあらかじめ用意された授業は一切なく先生もいません。子どもたちはテストや宿題などに追われることなく、自分のペースで自分の関心のあることをしています。
ゲーム、サッカー、読書、料理などをしている子もいるし、他の子どもとおしゃべりしたりしている子もいます。
それは子どもによって、日によって違うのでここには書ききれないほど、いろんなことが起こっています。

ありのままの自分でいられるので、時には泣いたり、怒ったりすることもあります。
ここでは感情をおさえつけられることもないので、自分自身を隠す必要はありません。「自分を生きる学校」です。だから、本気で自分と向き合えるのです。

また、スクール全体のことも子どもたちが話し合いで決めていきます。一人ひとりが安心して楽しく過ごせるようなスクールにするために、自分たちで考えて工夫していきます。

自分たちでつくる、自分たちの場所だから、
自分を大切にするように、他の子のことやスクールのことも大切にしていきたいと思えるのです。

自由

デモクラティックスクールでは、子どもは自分のことは自分で決めて行動しています。

どこで、誰といて、何をするのか、自分で決める自由があるのです。自分が望んだように時間を使えます。
勉強も、遊びも、子どもたちが自分から始めていきます。一日中絵を描いていることもできるし、次から次へといろんなことをすることもできます。みんなの中で過ごすこともできるし、自分ひとりで過ごすこともできます。
デモクラティックスクールでは子どもたちは誰かに何かを強制されることがないからです。

子どもを自由にさせると怠惰な人間になるのではと心配する声もあります。
しかし子どもたちは、自分の好きなことや必要だと感じたことに取り組むとき、驚くべき集中力を発揮し、すごいスピードで吸収していきます。

また、学年わけがないので、年齢に関係なく一緒にいたい人たちとたっぷり時間を過ごしています。6歳の子どもも18歳の子どもも一緒に遊び、話し、お互いに学び合えるのです。
多様な年齢の子どもたちが一緒に過ごす中で、自分の知らないことやできないことをお互い取り入れたり、自分にはなかった発想や相手の行動力から刺激を受け学び合っています。

こんなふうに、自分のやりたいことをしたり、人との関わりから学び合ったりしながら、自分が成長したいように成長していくのです。「~歳になったら、~しないといけない」とか「~歳だから~を考えないといけない」ということはありません。

いつも自分の夢を自分の力で実現しながら生きていきます。

自分を育てるのは自分

デモクラティックスクールでは、あらかじめ決められたカリキュラムや用意された目標がないので、誰からの指示もないし、通知表のような評価もありません。
何かをするのもしないのも、決定するのは自分であり、その結果を自分で引き受けることになります。

子どもは自分の興味関心から選択して行っていることに熱中します。その中にはやりたくないことや苦手なことが含まれたりしますが、上達したい、探求したいという思いで、自ら取り組んでいくのです。
また、自分でやろうと始めたことであれば、うまくいかなかった経験も、他人の責任にすることなく、自分で受け入れられます。
そうやって自分の責任で主導権を持って物事に取り組むという体験の積み重ねが、自分自身をよく知ることにつながります。

自分の人生をどうしていくのかを自分の責任で組み立てて生きていくのは、社会に出れば当然のことです。
そのために大切なのは、自分で選択してきたという経験と、自分自身への理解だと考えます。

デモクラティックスクールでは、子どものうちから、様々な選択を自分の責任で行う日常を過ごす中で、自分の人生に責任を持って生きていく力が自然と育っていきます。

まわりの人の自由も尊重する

デモクラティックスクールでは、子どもたちには自分のしたいことをする自由があります。

だからといって、他の人が遊んでいるのを邪魔したり、他の人の物を無断で使ったり、勝手きままにできるというわけではありません。
他の人にとって迷惑なことをすれば、その人から抗議されるかもしれないし、自分がいいと思ったことを、誰かがいやだというかもしれません。

デモクラティックスクールでは、自分の自由と他の人の自由が衝突するようなとき、それにどのように対処していくのかを考えるのも自分たちです。
子どもたちの中で起こった問題にスタッフが介入して勝手に解決することもありません。自分の課題は自分のものとして、それを解決する力が子どもたちにはあるのです。

自分勝手にして、他の人の自由を侵害すれば、同じように自分の自由が侵害されてしまうこともあるでしょう。
自分の自由と他の人の自由が衝突する経験を繰り返す中で、子どもは自分だけでなく、他の人も好きなことができるためにはどうすればいいかを考える必要のある場面を体験します。

実際に問題を解決するために、直接のやりとりをすることもあれば、子どももスタッフも対等なミーティングで話し合うこともあります。場合によってはミーティングでルールがつくられます。
そうやってつくられたルールは、自分たちを縛るものではなく、自分たちがより自由に過ごしやすくするためのものです。

本当の意味での自由とは、自分の自由もまわりの人の自由も尊重することなのです。

コミュニティを運営する

デモクラティックスクールは、子どもとスタッフである大人が一緒に運営します。
物品の購入、開校日、開校時間、備品の取り扱い方、入学年齢、卒業年齢、広報の仕方など、スクールに関わることはすべてミーティングで決まります。もちろん、学費やスタッフの人事も例外ではありません。

こうした話し合いは年齢に関係なく、参加したい人は誰もが参加でき、子どもでもスタッフでも誰もが対等です。
「6歳だから、これは理解できないだろうから決定権はない」ということはありません。一人ひとりの意見を大切にしながら、民主的に自分たちのスクールをつくりあげています。

民主的にスクールを運営していく中で、自分が声をあげることでスクールコミュニティをより良く変えていけるんだという自分自身の力を感じることができ、同時に自分がコミュニティをつくっている一員だという意識が育ちます。

また、一人ひとり個性の異なる集団の中で、納得いくかたちでひとつの物事を決める際には、相手の意見をよく聞き、自分の意見をよく話し、そのときのベストな選択を探るという経験を繰り返すことになります。

その経験が、お互いの違いを認め合い、尊重し合うことにつながっていくのです。

自分を生きる、社会を生きる

このようにデモクラティックスクールの子どもたちは、ありのままの自分で自由に過ごし、さまざまな問題に直面しながら自らを育てていきます。
また、まわりの人を尊重しながら、自分たちで学びの場をつくりあげる経験を通して、自分への自信と信頼を育み、自分の人生に責任を持って生きていきます。

変化が早く、未来が予測しづらいこれからの時代においても、デモクラティックスクールで育った子どもたちは、主体的に自分の人生を生き、まわりの人も大切にして、自分がいるコミュニティをより良くしていくでしょう。もちろん、時にはうまくいかないことも経験しながら。

彼らはスクールを巣立ったあとも、「個人の自由・自己実現」と「協調性・社会性」が対立することなく調和した市民として、自分を生き、社会を生きていくのです。

デモクラティックスクール・ネットにおけるデモクラティックスクールの定義は団体規約をご覧ください。